ファイザー社の新型コロナワクチンについて
特徴
①ワクチンの種類本剤はメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンです。SARS-CoV-2のスパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なタンパク質)の設計図となるmRNAを脂質の膜に包んだ製剤になります。本剤を接種し、mRNAがヒトの細胞内に取り込まれると、このmRNAを基に細胞内でウイルスのスパイクタンパク質が産生され、スパイクタンパク質に対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導されることで、SARS-CoV-2による感染症の予防ができると考えられています。
②接種対象者
・初回接種(1回目・2回目接種):12歳以上の方
・追加接種(3回目接種):18歳以上の方
③接種方法
通常は、三角筋(上腕の筋肉)に、1回0.3mLを筋肉注射という方法で接種します。
接種回数と接種間隔
<初回接種>・1回目の接種後、通常、3週間の間隔で2回目の接種を受けてください。
・接種後3週間を超えた場合は、できるだけ速やかに2回目の接種を受けてください。(米国やEUの一部の国で、1回目から6週間後までに2回目を接種することを目安としています。)
・1回目に本ワクチンを接種した場合は、原則として、2回目も本ワクチンの接種を受けてください。
<追加接種>
・ワクチンの供給力や、効果の持続期間の知見等を踏まえ、2回目の接種完了から原則8か月以上経過した後に接種を受けてください。
・1回目や2回目の接種に用いたワクチンの種類に関わらず、本ワクチンの接種が可能です。
安全性について
主な副反応は、頭痛、関節や筋肉の痛み、注射した部分の痛み、疲労、寒気、発熱等があります。まれに起こる重大な副反応として、ショックやアナフィラキシーがあります。
また、ごくまれではあるものの、初回接種では、ワクチン接種後に心筋炎や心膜炎を疑う事例が報告されています(※)。接種後数日以内に胸痛、動悸、息切れ、むくみ等の症状が現れたら医療機関を受診してください。 (※)1回目よりも2回目の接種の後に多く、若い方、特に男性に多い傾向が見られます。
追加接種では、1回目や2回目の接種と比較して、主に脇の下のリンパ節の腫れが多く(5%程度)報告されています。症状は軽く、数日以内に自然に回復することが多いですが、腫れがひどかったり、長引く場合は、医療機関を受診してください。
なお、本ワクチンは、新しい種類のワクチンのため、これまでに明らかになっていない症状が出る可能性があります。接種後に気になる症状を認めた場合は、接種医あるいはかかりつけ医に相談しましょう。 万が一、ワクチンの接種によって健康被害が生じた場合には、国による予防接種健康被害救済制度がありますので、お住まいの各自治体にご相談ください。
有効性について
新型コロナウイルス感染症の発症を予防します。ワクチンを受けた人が受けていない人よりも、新型コロナウイルス感染症を発症した人が少ないということが分かっています。(発症予防効果は約95%と報告されています。) なお、初回接種において、本ワクチンの接種で十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経って以降とされています。また、追加接種から1か月後の中和抗体価は、2回目の接種から1か月後の中和抗体価よりも数倍高い値であることが報告されています。ただし、追加接種を受けても、感染を完全に予防できる訳ではありません。ワクチン接種にかかわらず、引き続き、適切な感染防止策を行う必要があります。
予防接種を受けることができない人、注意が必要な人
下記にあてはまる方は、本ワクチンの接種ができない、または接種に注意が必要です。当てはまるかどうかや、ワクチンを受けて良いか、ご不明な方は、その病気を診てもらっている主治医にご相談ください。
また、当てはまると思われる方は、必ず接種前の診察時に医師へ伝えてください。
受けることができない人
・明らかに発熱している人(※1)
・重い急性疾患にかかっている人
・本ワクチンの成分に対し重度の過敏症(※2)の既往歴のある人
・上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある人
(※1)明らかな発熱とは通常37.5℃以上を指します。ただし、37.5℃を下回る場合も平時の体温を鑑みて発熱と判断される場合はこの限りではありません。 (※2)アナフィラキシーや、全身性の皮膚・粘膜症状、喘鳴、呼吸困難、頻脈、血圧低下等、アナフィラキシーを疑わせる複数の症状。なお、1回目あるいは2回目の接種でこれらの症状が認められた方は、同一のワクチンを用いた追加接種を受けることはできません。
注意が必要な人
・抗凝固療法を受けている人、血小板減少症または凝固障害(血友病など)のある人
・過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の方がいる人
・心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある人
・過去に予防接種を受けて、接種2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状がでた人
・過去にけいれんを起こしたことがある人
・本ワクチンの成分(※)に対して、アレルギーが起こるおそれがある人
妊娠中、又は妊娠している可能性がある人、授乳されている人は、接種前の診察時に必ず医師へ伝えてください。ただし、かかりつけの産婦人科医に確認していない場合でも、予診医によりワクチン接種が可能と判断された場合は、接種が可能です。
ワクチンを受けた後の注意点
・本ワクチンの接種を受けた後、15分以上(過去にアナフィラキシーを含む重いアレルギー症状を起こしたことがある方や、気分が悪くなったり、失神等を起こしたりしたことがある方は30分以上)、接種を受けた施設でお待ちいただき、体調に異常を感じた場合には、速やかに医師へ連絡してください。(急に起こる副反応に対応できます。)・注射した部分は清潔に保つようにし、接種当日の入浴は問題ありませんが、注射した部分はこすらないようにしてください。
・接種当日は、通常の生活は問題ありませんが、激しい運動や過度の飲酒は控えてください。
出典:厚生労働省